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​歌詞について

歌詞について by:Tatsuya Hyuga

 

アメリカ南部への憧れは小学校3年生の頃。マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』に始まっています。その後、アメリカのルーツミュージックに傾倒し、音楽を創り始めました。今にして思えば、自身のたどってきた変遷をこのCDブックというカタチにしたとも云えます。コンセプトアルバムの様相を呈していますが、「映像のない架空の物語のサウンドトラック」として、自由なイメージで楽しんでいただければ幸いです。

 

創った時期も想いも作風もバラバラでまとまりのない作品達ですが、ここでそれぞれの背景を少しだけ(全てではないです)説明させて下さい。もちろん、バックグラウンドがどうであれ、どんな風に聴いていただくかはあなた次第です。

 

 

Show Boat

 




◎2005年8月末にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナが、音楽の聖地ニューオーリンズに壊滅的な被害をもたらしました。敬愛するサッチモ(ルイ・アームストロング)が感化院で初めてコルネットを手にし、出所後、リバーボートに乗ってミシシッピー河の沿岸を流すフェイト・マラブル楽団で働いていた頃のイメージをベースに、憧れの地の復興を願った作品です。

 

 

はなびら

 

◎1991年に始まった湾岸戦争の時に作った歌。戦地に赴く兵士、戦場と化した街に暮らす人々、その真実を全世界に伝えようとする人たち。そのひとりひとりに、命の光が消えない事を信じて今日も祈る人がいます。

 

 

Oh! じいさん

 

◎2009年3月。父が亡くなる3日前のこと。ホスピスの部屋で、友人が見舞いにくれた「片野桜」という酒を開けた。「お前と飲む酒が一番旨い」 と、本当に旨そうに呑んだ父。その年の桜には届かなかったが、楽しい花見酒だった。僕は笑う事、話す事、歌う事が好きな父の息子だなぁと思う。

 

 

 小さな花屋の物語

 

◎僕の人生に多大なる影響を与えた、“花・谷中(京都に現存します)”の夫婦をイメージした歌。二人が創る凛と美しい花束は、本当に素晴らしいのです。

http://www14.plala.or.jp/hana-taninaka/

 

 

辻音楽師



◎ この詩のモデルは僕の祖父。稼業は自転車屋であったが、琵琶を奏でたり、歌っては素人名人会の予選で落とされるような芸事「下手の横好き」じいさんであった。 亡くなるひと月ほど前に、本人からバイオリンを弾いていた事を聞き、驚きのあまりこの歌を作った。事実なのかホラなのか今となっては確かめる術もないが、 じいさんによると、町内でバンドを作り、鴨川の床下の河川敷で演奏し、おひねりを投げてもらって小遣い稼ぎしていたそう。「辻音楽師」とは、今で言うところのストリート・ミュージシャン。血ですかねぇ。

 

 

愛していますじゃ つまらない

 

◎「愛している」という言葉を、歌詞の中に使わないように心がけていました。こんなにカラフルな表現手法を持つ日本語なのに、「愛している」以上の愛の言葉が見つからないからです。そんなのつまらないでしょ。

 

 

九份慕情

 

◎舞台は台湾。海に向かってしがみつくように在る山間の小さな街、九份。街全体が宙に浮かんだような夜の情景は、何度訪れても心を掴まれてしまいます。

 

 

 Gumbo


◉用語解説
●ガンボ:アメリカ南部の一般的なスープ料理の総称。
●ボトル・ツリー:青い空き瓶を木にさした黒人たちの魔除けの風習
●ショットガン・シャック:ショットガンで打ち抜けるほど薄っぺらな小作人の住居
●クロスロード:ブルースマン“ロバート・ジョンソン”が、ルート49と61の交差する十字路で、ギターの腕とひきかえに自分の魂を悪魔に売り渡したという伝説の地。
●フィールド・ホラーズ:プランテーションで作業する黒人奴隷達が歌った労働歌。ブルースの原型と言われている。
●クラークスデール:ミシシッピ川流域の綿花栽培地帯の中心地。
●ジョーク・ジョイント:黒人達が集まる居酒屋兼ギャンブル場。白人達の酒場”ホンキートンク”には、黒人は入れなかった。

 

※参考文献:ジェームス・M・バーダマン 著『わが心のディープサウス』

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